夏空高く響き渡る太鼓の音に合わせ、群雄するさんさ踊りは、市民に古くから親しまれてきた盆踊りである。その起源をさかのぼれば、諸説あるが、中でも最も広く伝えられているのは、「鬼の手形」で知られる盛岡市那須川町にある三ツ石神社の三ツ石神社伝説だといわれている。 昔、昔、岩手山が噴火したときのこと。三つに割れた巨岩がこの地方に飛んできた。その巨岩を人々は「火の中から飛んできた尊い石だ」と、あがめるようになった。 その頃、この地方には羅刹鬼(らせつき)という鬼が現われ、悪行の限りを働き、農民たちを苦しめていた。困り果てた人々が三ツ石神社に鬼退治をお願いしたところ、神様はその願いを聞き入れて悪鬼たちをとらえ、巨岩に縛り付け、二度と悪さをしない誓いの証として境内の大きな三ツ石に鬼の手形を押させた(これが「岩手(岩に鬼の手形)の名前の由来だと言われている)。 鬼の退散を喜んだ里人たちは大いに喜び祝い、三ツ石のまわりを「さんさ、さんさ」と踊り回ったのが、「さんさ踊り」の始まりだといわれている。(三ツ石神社境内にある案内板より引用)